冬至(12月22日ごろ)には、どの家庭でも、柚子湯に入り、寒くなって、カサカサした皮膚を柚子で整え、カボチャで冬に欠乏しがちなビタミンを補給するという、まことに理にかなった、日本人の知恵といえます。このカボチャは、ビタミンAの王様です。冬に赤・黄の野菜をとらないと、ビタミンA・B・Eが不足しますので、冬至にカボチャを食べて、ビタミンを補ったわけです。
中風とは、一般に脳卒中後に残る体のマヒを指しますか、カボチャがとくに脳卒中の特効薬になるとはいえません。ですが、それでもカボチャには、ビタミンAが多めにあり、寒い時期にありがちな、カゼ、肌荒れを防ぐ効果はあります。
ビタミンAは大根の葉、ニラ、ニンジン、コマツ菜などに多く含まれていますか、野菜の種類か少なかった昔、夏から保存できるカボチャも、大切な冬場の野菜の一つでした。カボチャは、たいへん調理範囲の広い野菜で、煮物に汁物、揚げたり、漬けたり、洋風、和風、それぞれとりまぜて、さまざまに使われます。砂糖のなかった戦争中は、貴重な糖分でした。
長期保存に耐えうるカボチャも、年を越すと味が落ち、腐りやすくなります。それで、もっとも食べごろの時期をへて、冬至のころか食べ終える時期という教えが、このいい伝えをつくったといえます。ビタミンAの王様カボチャは、中風ばかりでなく、虚弱体質、貧血、糖尿病、胎児の発育によく、種子は前立腺肥大を防止し、母乳の出を促すという、女性に限らず、男性にも薬効の大きい食べ物の一つです。